ある日本人の若者の話=第二話=

昨日いきなり眠ってしまったまま、

ずっとそこに居たのではないかと思うぐらい、

昨日とまったく同じ姿形で、

マンゴーの木の下に老人が座っていた。

そして、同じように子どもたちが1人2人とその周りに集まってくる。

思い思いの格好で座り、

老人が口を開くのを今か今かと待ち構えている。

 

『さて、今日はどんな昔話を、、、』

『昨日のつづきー!!!』

老人の言葉にかぶせるように、子どもたちが一斉に叫んだ。

 

『…はて? 昨日のつづき? 話し終わってないか??』

『じいちゃん途中で寝ちゃったじゃーん!!』

『おや? 寝ちまったのか。道理で生々しい姿が浮かぶもんじゃと思ってたら、ありゃあ夢か。』

『むははははは(・∀・)』

『はやくしないとまた寝ちゃうよー!つづきつづきー!!』

『わかったわかった、、、ところでどこから寝ちまったかのぉ??』

 


 

若者がふと目を開き、意識を取り戻すかのように2~3度またたきをした。

天井でゆっくりと扇風機が回っている。

部屋の電気がついているので昼なのか夜なのかわからないが、

窓の外は暗いのだろう、明るい部屋の中を反射して映しているだけだ。

ゆっくりと起き上がり、冷蔵庫を開けてみる。

中にあった水を取り出して、ボトルのまま水を飲む。

そこでようやくぼーっとしていた頭が働きだしたのだろう。

 

『…っておい!いま何時??』

 

部屋の壁に掛けられていた時計を確認すると、もうじき21時。

 

『…まじかぁ。。そんなに寝ちゃったかぁ。。』

『パパは来たのかなぁ。。ていうか、、、腹減った。。。』

『さっきの雑貨屋にカップラーメンとかあるかなぁ。。てかまだやってるかなぁ。。』

 

意を決したように外にでていく若者。

当然ながら外は真っ暗なのだが、右手の先ほどの雑貨屋の明かりはまだついているっぽい。

そして各バンガロー前の明かりもついている。

さらに奥の方には、バンガローよりはるかに大きい民家のようなものがあるが、

そこにも明かりはついている。大きな笑い声が若者のところまで聞こえてくる。

なんだか大勢の人が集まってる風で気にはなったが、

ひとまず右手の雑貨屋のほうに足を進めた。

が、店先の明かりはついているが、店は残念ながらしまっていた。

 

なんだか大きな民家のほうに導かれているような気になっていた。

雑貨屋がしまっていたことにがっかりすることもなく、

足は自然と大きな民家に向かっていた。

 

 

民家ぽい家に近づくと、バイクが何台も止められていた。

そしてその向こう側、少し高くなっている玄関前スペース、

そこにも何人かが座って大きな声でしゃべりながら、

さながら宴会のような体である。

その宴会の輪の中で、ひときわ体の大きな男が、

若者が立っていることに気づいた。

 

『お!起きたか。こっち来いこっち来い』

 

その声にというか、日本語にうれしくなったのか、

若者の顔に自然と笑みが浮かび、足早に駆け寄ってきた。

 

『あっ、はじめまして! ぼく、、、』

『あー、そういうの後でいいから、とりあえず飲むか?食うか?』

『え?あ、、、えーっと、食います!!』

『そうかそうか!むははははは(・∀・)』

『タイ料理がいいか?日本料理がいいか?日本料理ってもカツカレーしかないけどな』

『カツカレーっすか!!カツカレーいただきます!!』

『カツもカレーもたっぷりあるから死ぬほど食ってくれ!!』

 

 

たっぷり三杯のカツカレーを平らげた若者は、

もう動けないと言わんばかりに、その場で大の字になっていた。

 

『いいだろ?いつも夕食はこんな感じだ』

『いつもですか?20人ぐらいいません?』

『集落から来る人もいれば、ここに住んでいる人もいるし、君みたいな旅人もいるし』

『いつもはタイのいなか料理だが、今日は君が来てるって娘から連絡あったからカツカレーも加えてみた』

『あ!わざわざありがとうございます。あ、ぼくヒロトっていいます。』

『わたしはリョウタ。でもみなムーノーイ(小さな豚)って呼んでる』

『リョウタ、、、さんは、日本人なんですか??』

『日本人といえば日本人、タイ人といえばタイ人、いわゆるハーフってやつだ』

『じゃあ、お父さまかお母さまが日本人と。』

『うん、オヤジが純血日本人。おふくろが純血タイ人。』

『ちなみに嫁が純血タイ人だから、娘はクォーター。君との子ができたら5/8だ(・∀・)』

『わたしよりも日本人の血が濃くなるなぁ。むははははは(・∀・)』

『まぁ、計算上はそういうことに、、、』

『ん?娘はまんざらでもなさそうだけどなぁ、、、少なくとも日本語に興味はでてくるかもしれん』

『あ、娘さんに日本語は教えないんですか?』

『娘が興味もって話したい!ってなったら教える。無理強いはしない。うちのオヤジもそうだったから』

『リョウタさんはずっとここで生活してるんですか?』

『いろいろ行ったし日本でも数年暮らした。でもやっぱり生まれ育ったここが一番好きだなぁ。』

『いいですね。ぼくは生まれも育ちも東京で、海外も今回が初めてで、、、』

『海外初めてでこんなところまできちゃったか!逆にすごいな!!』

タイ語も全然わからないし、英語もちょっとだけだし大変なことだらけですけど(汗)』

『なんで海外出てみようと思ったの?』

『なんでっていうか、自分探しってやつですか?

将来何をやりたいってのもよくわからないし、

好きなことっていってもそれだけで食っていくことなんて無理っぽいし、

そもそもなにが好きかってのも微妙だし。。

海外に出て、今まで見たことも聞いたこともないこと体験したら、

なにか見つかるかもしれない!と思ったので、

思い切って1年ぐらいあちこちいってみようかと。』

『そうかそうか!ならここにしばらくいたら、なにかつかめるかもしれないぞ』

『ほんとですか!』

『ヒロトくんしだいだけどな。むははははは(・∀・)』

『ぼくしだい。。。』

『なんならバンガロー代無料にしてやるから好きなだけ居るといい』

『まじですか!?でも無料ってなんか申し訳ない気が、、、』

いやいや、村の人はいつでも無料だし。飯もこんな感じでよければ一緒に』

『まじですか!!!超うれしいっす!!!ありがとうございます!!』

『明日またいろいろ案内してやるから、今日はゆっくり休みなさい』

『はい!よろしくおねがいします!!』

 

先ほどたっぷり寝たはずなのだが、

バンガローに戻ってベッドに横になると、

間もなく気持ち良さげな寝息を立て始めていた。。。

 

 


 

 

『…』

『…』

『またじいちゃん寝ちまってねえか??』

『ぼくもそう思う』

『わたしもそう思う』

『きっとじいちゃん、寝るシーンになると寝ちまう年頃になったのかもしれん』

『きっとそうだよ』

『わたしもそう思う』

『ただこれは1つの仮説に過ぎないから、明日以降実証実験してみよう。』

『かせつってなに?』

『じっしょうじっけんってなに?』

『たぶんそうだろうな~って考えが仮説、

それがほんとどうかためしてみよう!ってのが実証実験』

『うん!そうしよう!』

『そうしよう!そうしよう!』

 

考えがまとまった子どもたちは、

またそれぞれの家へ走って帰るのだった。

マンゴーの木の下では、

老人が気持ちよさそうに寝息をたてている。

 

 


 

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